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近視抑制治療
(オルソケラトロジー・
点眼治療(低濃度アトロピン点眼))

近視抑制治療について

近視抑制治療とは、屈折異常の1つである近視の進行を抑制するための治療です。
当院では主に、オルソケラトロジー、低濃度アトロピン点眼による近視抑制治療を行っています。また、仮性近視の予防と視力の向上を図るミドリンMを使った点眼治療にも対応しております。
低濃度アトロピン点眼とオルソケラトロジーは、併用することでより高い近視抑制効果が期待できます。

オルソケラトロジーによる
近視矯正治療にも対応

オルソケラトロジーは、近視の矯正治療として受けていただくことも可能です。日中の長い時間を、眼鏡やコンタクトレンズなしで快適にお過ごしいただけます。

近視進行防止

近視とは、遠くを見る時にピントが網膜より前に結んでしまい像がぼやける状態です。子供の近視進行は、眼球の奥行の長さ(眼軸長)が伸びてしまうこと(伸展)が主な原因です。一般的に近視が始まるのは、学童期(6歳から12歳ごろ)です。

近視進行防止

近視進行防止

近年、携帯ゲームやスマートフォンの普及などにより、小学生の裸眼視力低下者は増加傾向を辿っています。

近視進行防止

小学生における裸眼視力0.3未満の割合
(この30年間で3倍に増加しています)

さらに文部科学省が発表した学校保健統計調査によると小学生で3割近く、中学生で2人に1人が視力1.0未満という結果で 過去最高の割合になっています。
軸性近視が強くなる、すなわち強度近視になると、眼軸の延長の程度が大きく、網膜や脈絡膜が後方に引き伸ばされ、負荷が増強します。

近視進行防止

多治見スタディでは、視力0.05以下となる重篤な視力障害の原因疾患では、近視性黄斑変性がもっとも頻度の高い疾患となっています。

近視進行防止

近視進行防止

近視は発症年齢が低い程進行しやすく、過度に眼軸長が伸展し強度近視になると、緑内障、黄斑変性症、網膜剥離の発症リスクが高まります。多治見スタディでは、視力0.05以下となる重篤な視力障害の原因疾患では、近視性黄斑変性がもっとも頻度の高い疾患となっています。
近視進行は小児期に起こるので、生涯にわたって視機能を保つには、成長期に少しでも近視を抑制することが重要であります。

近視進行の危険因子

  1. 近視には遺伝的な因子が最も強く関係する(両親が近視だと7~8倍、片方なら2~3倍)
  2. 都市部に居住する方が近視になる
  3. IQ、学歴が高い方が近視になる
  4. 近業(長時間、読書量大、近距離)が多い方が近視になる
  5. 戸外活動が多い方が近視を抑制する

近視の進行防止には勉強などの近業作業を短めにし、屋外活動の時間を長く取ることによって近視の予防は可能ですが、現実には難しいかと思います。

当院での近視治療

近視になった時、一般的には眼鏡またはコンタクトレンズでの矯正を行います。
当院ではこれに加え、オルソケラトロジーによる近視矯正に対応しています。

近視矯正法の
メリット・デメリット

  メリット デメリット
眼鏡
  • 装脱、管理が用意
  • 眼球に触れないため、リスクが少ない
  • 点眼薬の制限がない
  • 長い目で見ると費用を抑えられる
  • 人によっては見た目が好みではない
  • スポーツ、作業の邪魔になることがある
  • 曇ることがある、脂などで汚れやすい
  • 視界にフレームが入る
コンタクトレンズ
  • 装用による見た目の変化がない
  • スポーツ、作業の際に邪魔になりにくい
  • レンズで視界が狭くならない
  • 眼球に触れるため、結膜炎、ドライアイなどのリスクがある
  • 装脱、管理に手間がかかる
  • 点眼薬によっては制限がある(外して点眼をする必要がある)
  • 長時間の装用には向いていない
オルソケラトロジー
  • 日中の長い時間を裸眼で過ごせる
  • スポーツ、作業の邪魔にならない
  • 近視抑制効果が期待できる
  • レーシックと異なり可逆的な治療(治療をやめると角膜は元通りになる)
  • 強度近視、強度乱視、遠視、重いドライアイには向かない
  • 光がにじんで見えることがある
  • 装脱、管理に手間がかかる
  • 費用が高い(自由診療)

点眼治療

ミドリンM

寝ている間に調節する筋肉の緊張を和らげることにより、仮性近視を予防して視力の向上をめざすものです。

0.01%の低濃度アトロピン
点眼薬投与

1%アトロピン点眼は近視進行を強力に抑制しますが、散瞳による羞明(まぶしさ)、調節麻痺による近見障害(近くがピンボケで見えない)、眼のアレルギーを起こすなどの副作用が強く、長期間継続して使用するのは困難であります。
これらの副作用が少ない、低濃度のアトロピン(0.01%)点眼薬でも近視進行抑制があることが分かり、最近の研究は、最も近視進行抑制があるのはこの低濃度アトロピン点眼薬だとされています。
海外の論文では、副作用を最小限にして安全に、なおかつ十分な近視進行抑制効果が得られることが数多く報告されています。2015年の米国眼科学会では、これまでの研究において、未治療群の小児と比べ0.01%アトロピン点眼薬投与群では近視の進行を約60%抑制する効果も明らかになっています。

0.01%の低濃度アトロピン点眼薬投与

1.0%アトロピン点眼群(▲のライン)では、ほとんど近視が進行していないという恐るべき効果が出ていることがわかります。0.01%アトロピン点眼群(○のライン)では-0.49Dの進行ということで、無治療群に比べますと、約60%の抑制効果が得られています。 現存する近視進行予防の治療方法の中では突出して高い効果です。その後2015年になって我が国でも、低濃度アトロピン点眼の副作用は軽微で実生活に影響を与える程度ではなく、継続使用が可能との報告がなされています(参考文献2)。現在日本の7つの大学で臨床試験が始まっています。

オルソケラトロジー

オルソケラトロジーとは、一般的なコンタクトレンズとは異なり、寝ている間に特殊な形状をしたレンズを装用する事で角膜の形状を平坦化して、近視や乱視を矯正する方法です。朝起きてレンズを外した後も一定時間角膜の形が保持され、昼間コンタクトレンズやメガネを装用せずに裸眼で生活することが可能です。 オルソケラトロジーは、約50年の歴史があり、すでに欧米、中国、韓国などでは100万人以上の実績があり、 日本でも2009年 に厚生労働省に承認された非常に安全性の高い治療法です。
最近ではオルソケラトロジーの「近視抑制効果」も注目されており、今後は近視が進行している小児のみなさまへの更なる 治療効果が期待されております。

オルソケラトロジー

オルソケラトロジー治療開始直後には、矯正効果は弱く短時間しか良好な裸眼視力は持続しませんが、毎日装用を続けることで、1~2ヵ月後には良好な裸眼視力が得られます。また、手術ではないのでしばらく使用を中止すれば元の状態に戻すことができるため、メガネやコンタクトレンズなどの他の矯正方法に切り替えることも可能です。

こんな方にオススメします

メガネやコンタクトの
煩わしさから解放されたい

職業上メガネの使用が難しい、「時間がたつとゴロゴロする」「夕方になると充血する」等、コンタクトレンズ の不快感から解放されたい方へ。

裸眼でスポーツを
楽しみたい方

スポーツをストレスフリーで楽しみたい方、とくに動きの激しいスポーツや、水泳、サーフィンなどの水中スポーツを楽しむ方におすすめです。

レーシックなど屈折矯正
手術に抵抗がある方

「手術なのでこわい」「術後の感染症などが不安」という方へ。オルソケラトロジーなら、レンズの装用を中止すれば角膜 は元の状態に戻りますので安心です。

近視進行抑制効果が学術
論文で確認されています

オルソケラトロジーの近視進行抑制効果について最近様々な臨床研究において有望な結果が得られており、今後は近視が進行している児童への治療効果が期待されています。
また、夜装用して朝外して日中学校では裸眼で生活ができるため、学校でコンタクトレンズを紛失したりすることがありません。 使用中=睡眠時なので全て自宅で行えるためお子様の使用でも管理が行き届きます。

近視進行効果の仕組み

眼鏡による矯正

眼鏡による矯正通常の眼鏡を装用した場合、中心部分を網膜にピントが合わせると、周辺部は網膜よりも後方にピントが合ってしまいます(遠視性デフォーカス)。これが眼軸を伸長させるトリガーになると考えられています。

眼鏡による矯正これに対して、就寝時コンタクト(オルソケラトロジー)では角膜のカーブが変化し、網膜の中心の周辺部は網膜よりも前方にピントが合うので、周辺網膜像での遠視性デフォーカスが改善します。それゆえ眼軸伸長が抑制され、近視が進行しにくくなると近視の進行防止に有効だと考えられ、臨床研究で有効性あることが分かっています。
Smith EL 3rd,Kee CS,Ramamirtham R et al:Peripheral vision can influence eye growth and refactive development in infant monkeys. Invest Ophthalmol Vis Sci 46:3965-3972,2005
平岡隆浩:オルソケラトロジーによる近視抑制 新しい眼科33(6):795~800,2016

近視進行効果の仕組み

オルソケラトロジー安全性

オルソケラトロジーは、約50年の歴史があり、すでに欧米、中国、韓国などでは100万人以上の実績があり、日本でも2009年に厚生労働省に承認された非常に安全性の高い治療法です。レーシック等の外科的手術と異なり、レンズの装用を中止すれば、角膜の形状は元に戻りますので、安心してお使いいただけます。また、日中装用のコンタクトレンズとくらべても、夜間の装用なので、ほこり等が目に入ったりせず、レンズを紛失する心配も減るなど、安全・快適にお使いいただくことが出来、リスクは一般のコンタクトレンズと同等となります。

安心の国産
オルソケラトロジー

安心の国産オルソケラトロジー今までオルソケラトロジーは海外で開発作成されていましたが、当院で採用しているのは日本人の角膜の形状に合わせて作成されたレンズです。
素材は東レの独自の高分子テクノロジーから生まれたしなやか素材を使用。強度保持成分が強く結びつき、 外からの衝撃に対してもしなやかに曲がり、破損しにくいレンズです。

安心の国産オルソケラトロジー角膜を健康に保つためには、常に十分な酸素を取り入れる必要があります。レンズ素材は、酸素の高い素材となっております。 高水準の酸素透過係数を誇り、角膜に酸素を届けやすいレンズです。

オルソケラトロジーの
メリット

  • 日中は裸眼で生活できます
  • 手術不要で睡眠中に視力回復
  • 幅広い年齢層に対応できます

オルソケラトロジーの
デメリット

  • 従来の昼間装用ハードコンタクトレンズと同じ合併症が起こる可能性があります。
  • 視力が安定するまで見え方が変動することがあります。
  • 夜間にまぶしかったり、にじんで見えたりする可能性があります。

治療の流れ

1治療前検査

オルソケラトロジー治療が適応可能かを判断する検査になります。

2お試し装用

  • 1~2週間装用体験することができます。
  • 装用開始翌日と連続装用して1週間後、定期検診を行います。
  • 期間中のケア用品についてこちらでご用意致します。

3治療開始

  • トライアルレンズを返却頂き、治療用レンズをお渡します。
  • 治療開始する場合は必ず同意書にサインして頂く必要があります。
    (未成年者の場合は保護者の同意が必要)

4定期検査

治療開始から以下の日程で来院が必要になります。
1ヶ月後、以降3ヶ月毎。
定期検査は治療後の安全性・有効性の確認に大変重要になります。
お守りできない場合は途中で治療を中止させていただく場合がございます。

※オルソケラトロジー以外の治療は保険診療となります。
必ず保険証はご持参下さい。
目薬・ケア用品代は別途必要となります。
※定期検診は角膜の状態を知り、また、合併症の早期発見の為にも非常に重要ですので必ず受診して下さい。
また見え方が急に変化したり、何か異常を感じたりした場合は決められた検査日以外でも受診してください。

定期検査

よくある質問

どういう方に効果があるの?

近視の屈折度が-5D(裸眼視力0.1位)までの近視が良い適応とされています。これ以上の近視の患者様でも時間はかかりますが治療可能です。適応については検査を行い判断させていただきます。

近視の進行を抑制するの?

オルソケラトロジーレンズの装用は成長期の子供の近視進行の予防に非常に効果的である事が報告されていますので、子供の近視矯正には最適です。

寝ている時にレンズを着けても大丈夫?

角膜にとって酸素は必要不可欠です。角膜に充分な酸素が供給されなくなると、角膜を透明に保つはたらきを持つ角膜内皮細胞が傷つき減少していきます。減少すると、角膜は透明性を維持できず、次第に白く濁り、最悪の場合、視力障害を起こしてしまいます。
オルソケラトロジーで使用するレンズは、厚生労働省に承認されたレンズで、安全性の高い高酸素透過性のレンズ素材で作られており、装用したまま眠ることが認められています。また、角膜内皮細胞の状態を確認するためにも、定期的に眼科を受診することを心がけましょう。

通院期間はどのくらいかかりますか?

処方後テスト装用翌日、テスト装用1週間後に来院、問題なければ、治療がスタートします。治療開始から1ヶ月後、以降は3ヶ月ごとに定期検査を受けてください。

どのくらいから効果があらわれますか?

近視の強さによって多少違いはありますが、早い場合は数時間後から、遅い場合でも ほとんどの方が一週間くらいで裸眼で生活できるようになります。

効果はどれくらい持続しますか?

個人差はありますが1回目の装用で翌日の昼くらいまで効果が持続します。また装着期間が長くなれば 持続力は次第に延長され、一週間くらいで一日中良好な視力が持続します。

毎日装用しなければならないのですか?

毎日装用しなければならない方もいれば1週間に2~3回の装用だけでよい方もいます。場合によっては1週間に1回で充分という方もあり、近視の強さや年齢によって多少違いはあり、装用の頻度は異なります。しかしながら、その装用頻度に関係なくその装用を継続する必要があります。

一日の装用時間はどの程度必要ですか?

6時間程度は必要です。睡眠時間が充分に得られないと矯正効果に影響が出てきます。睡眠時間は充分に取る ようにしましょう。

年齢制限はありますか?

レンズの管理と取り扱いが可能であれば特に年齢の制限はありません。幅広い年齢層が治療の対象となっています。

治療に向かない人はどんな人ですか?

強度近視や強い乱視、眼疾患のある方、コンタクトのケアができない方等。いずれも、検査により簡単にわかりますのでご相談ください。

レンズの扱い方、ケア方法は難しくないですか?

多少注意を要しますが、基本的な扱いは通常のハードコンタクトレンズと変わりません。レンズのケアは、指定する洗浄保存液をご使用いただきます。

レンズの寿命はどれくらい?

レンズの寿命は通常の高酸素透過性ハードコンタクトレンズと同じくらいです。2~3年程度で交換が必要になります。定期検診をきちんと受け、医師やスタッフにレンズの状態を確認してもらい適切に使用するようにしてください。

レンズの保証はあるの?

装用開始日から6ヶ月以内であれば左右ともに1回のみ無償で処方交換ができます。装用開始日から12ヶ月以内であれば左右ともに1回のみ無償で破損交換ができます。
※交換の際は必ずレンズの破片が半分以上あることが条件になります。
また、紛失保証はありませんので、レンズの取扱いには十分ご注意ください。

治療費用

初年度費用 両眼 20万5000円(税込) / 片眼 10万円(税込) 
※年間治療費込み
2年目以降費用 年間 3万3000円(税込) ※年間治療費込み
テスト時費用 適応検査代5,000円、レンズ貸出保証金50,000円
※治療中止時はレンズ貸出代のみご返金致します。紛失・破損時はご返金いたしかねます。領収書を大切に保管して下さい。

交換保証

【処方交換】90日以内片眼1回無料
【破損】12ヶ月以内片眼1回無料
【紛失】全額患者様負担
※破損同眼2回目、紛失共に片眼4万4千円(税込) また、レンズは2~3年が寿命となりますので、2~3年に一度必ずレンズ交換になります。

返金保証

装用開始後
【1ヶ月以内】片眼61,500円(税込)
【2ヶ月以内】片眼55,350円(税込)
【3ヶ月以内】片眼47,150円(税込)
を返金致します(レンズは返却頂きます)。 レンズの紛失や破損がある場合は返金できません。

注意点

  • オルソケラトロジー治療は自由診療ですので、保険適用外、全額自己負担となります。
  • オルソケラトロジー治療は眼鏡やコンタクトのように視力矯正ではなく治療ですので医療費控除が可能です。(領収書が必要です)
  • 近視抑制目薬、ケア用品については費用が必要になります。
  • 別の病気に罹患された場合、保険診療に切り替わりますので、保険証のご持参をお忘れなくお願いいたします。

※オルソケラトロジー治療と同日での診察はできません。

オルソケラトロジー
費用比較

視力回復方法 試算条件 1年目 5年目 近視抑制効果
メガネ費用 2年半ごとに3万円のメガネ購入 3万円 9万円 ×
コンタクトレンズ費用 1day片目2,800円/月
定期健診3ヶ月ごと3,000円で計算
7.92万円 39.6万円 ×
オルソケラトロジー費用 初回15万円、レンズ交換9万円(2-3年に1度)計算
定期健診フリーパス2.5万円/年で計算(2年目より)
15.5万円 34.5万円
(3年交換)
43.5万円
(2年交換)

医療費控除について

オルソケラトロジーの治療は、眼鏡やコンタクトレンズのように視力矯正ではなく、治療です。従って医療控除申請が可能です。(購入時の領収書が必要になります)

よくある質問