歪んで見える症状は
ストレス？
物が歪んで見えるという視野の異常は、数ある目の症状の中でも病気を疑う必要性が高くなります。一時的なものだったとしても、必ず眼科を受診するようにしてください。
具体的には、網膜の黄斑部に変形などの異常が起こっていることが考えられ、緑内障や加齢黄斑変性、黄斑上膜・円孔、網膜剥離などの可能性を考えて診療します。
歪んで見えるのか
セルフチェック
視野が歪んでいるかどうかは、アムスラーチャートという図を用いて、比較的簡単にセルフチェックができます。眼科でも行われる検査の1つです。
アムスラーチャートによる
チェック
アムスラーチャートによるチェックでは、片目ずつ見え方を確認します。手のひらで片目を隠して以下の手順で検査を行い、終われば反対側の目についても同じように調べてください。普段、眼鏡やコンタクトレンズを装用している人は、装用したままチェックします。
- 目を、アムスラーチャートから30cmほど話してください。
- 片目で、中心点を見つめます。
- 中心点を見つめた状態で、格子が歪む場合には、物が歪んで見えているということになります。
その他、格子が波打って見える、格子がぼやけて見える、格子の一部が欠ける・消えるといった場合も、視野の異常が疑われます。お早めに当院にご相談ください。
歪んで見える原因と
考えられる疾患
緑内障
眼圧の影響などによって視神経が障害され、視野が狭くなったり、物が歪んで見えたりする病気です。かすみ目、視力低下などの症状も見られます。
ほとんどの緑内障は、非常に緩やかに進行します。また、反対側の目で視野が補われることもあり、発見が遅れがちです。しかし長く放置すると最悪の場合には失明に至る病気であるため、40歳以上の方は症状の有無に関係なく、年に1度は眼科で検査を受けることをおすすめします。
加齢黄斑変性
加齢を主な原因として、網膜の中心にある黄斑でむくみ、出血を起こす病気です。物が歪んで見える、視野の中心の見づらさ、視力低下などの症状を伴います。緑内障と同様、反対側の目で視野が補われ、発見が遅れることがあります。
喫煙、高血圧症、高脂肪食の摂り過ぎ、肥満などの生活習慣の乱れ、体質の遺伝なども、リスク因子となります。
黄斑上膜
主に加齢を原因として、網膜の中心にある黄斑の表面に膜が張る病気です。物が歪んで見える、視力低下、視野の中心のかすみ・ぼやけ、色覚障害などの症状を伴います。
加齢の他、外傷、ぶどう膜炎、糖尿病網膜症、網膜剥離の手術などが原因になることもあります。「黄斑前膜」とも呼ばれます。
網膜剥離
網膜が剥がれ、硝子体の中で浮き上がってしまった状態です。初期症状としては飛蚊症、光視症がよく知られています。進行すると、視野が欠ける、物が歪んで見えるといった症状も見られます。放置していると、最悪の場合には失明に至ります。
加齢、強度近視、外傷、ぶどう膜炎、中心性漿液性脈絡網膜症など、さまざまな原因があります。
眼底出血
加齢黄斑変性や網膜静脈閉塞症、網膜剥離などの病気に伴い、障害された網膜の血管で出血している状態を指します。
症状としては、飛蚊症、視野障害、視力低下などが挙げられますが、それほど強く現れず、健康診断などで偶然見つかるケースが多くなります。ただし、硝子体出血を起こした場合には視力が急速に低下します。
中心性漿液性脈絡網膜症
黄斑の裏側で水が溜まって黄斑が浮腫んでしまう病気です。40代くらいの、特に男性によく見られます。
物が歪んで見える、視野の中心が暗くなる、物が小さく見えるといった症状を伴います。はっきりとした原因は解明されていませんが、ストレス、副腎皮質ステロイド薬の副作用などが発症に影響しているものと考えられます。
網膜静脈閉塞症
高血圧、糖尿病、脂質異常症、遠視、緑内障などを背景にして、網膜の静脈が詰まり、血流が低下する病気です。視野のぼやけ、視力低下、視野のまわりの薄暗さなどの症状を伴います。高齢の方に多い網膜静脈分枝閉塞症がほとんどを占めますが、網膜中心静脈閉塞症については若い方に発症する傾向があります。
糖尿病黄斑浮腫
糖尿病の合併症である糖尿病網膜症のうち、黄斑でむくみが出て視力が障害される病気です。
物が歪んで見える、かすみ目、視力低下、コントラスト低下などの症状が見られます。
視神経炎
ウイルスの感染や糖尿病、多発性硬化症、腫瘍などを原因として起こる、視神経の炎症です。
目の痛み、中心暗点などの症状が見られ、急激に視力が低下します。
歪んで見える方は
早めに受診ください
「物が歪んで見える」というのは、経験したことのない人にとってイメージしづらいかもしれません。症状が現れてからも、反対側の目で視野が補われている場合には、なかなかご自身では気づけないことがあります。ただ、定期的に眼科で検査を受けることで、早期発見が可能です。また、アムスラーチャートによるセルフチェックもおすすめです。少しでも症状が気になった時には、お早めにあだち眼科にご相談ください。