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近視・遠視・乱視
(屈折異常)

屈折異常(近視・遠視・乱視)

屈折異常とは、外から目に入ってきた光が適切に屈折せず、網膜できっちりとピントが合わない状態を指します。
近視、遠視、乱視について、まずは簡単にご説明します。

近視

近視角膜や水晶体の屈折力が強い、眼軸長が長いといったことから、網膜より手前(前方)でピントが合っている状態です。
遠くを見た時にピントが合わなくなります。

遠視

遠視角膜や水晶体の屈折力が弱い、眼軸長が短いといったことから、網膜よりも奥(後方)でピントが合っている状態です。
軽度であれば遠くでも見えることがありますが、重くなるにつれピントが合いづらくなります。

乱視

乱視角膜や水晶体の縦方向の屈折力、横方向の屈折力に差がある状態です。
物が歪んで見えたり、二重に見えたりします。

近視

近視について
分かりやすく解説

読書、パソコン操作の際など近い距離を見る時には困りませんが、教室で黒板を見たり、運転中に遠くを見たりする時に、見えづらさを感じます。
主に、眼軸長が長くなることで起こる屈折異常です。

スマホの見過ぎで起こる
仮性近視

スマホの見過ぎで起こる仮性近視近い距離を長時間見ることで、毛様体筋が過度の緊張を強いられ、遠い距離の物がぼやけて見えることを「仮性近視」と言います。目を休ませたり、生活習慣の改善などの治療に取り組むことで改善が期待できます。
適切な対応をとらないでいると、近視が進行するおそれがあります。健康診断、学校の眼科検診などで指摘された場合には、お早めに当院にご相談ください。

近視の原因

多くの近視は、目が成長する過程で起こります。目も身体や脳と同じように成長しますが、その途中で眼軸長が長くなりすぎることで、近視になるのです。
原因としては、遺伝、睡眠不足、近い距離ばかり見る生活などが挙げられます。外遊びの少なさ、スマホ・ゲームなどへの熱中、近距離での読書などが大きく影響するものと考えられます。

子どもに急増している近視
近年、世界的に、特に日本を含む東アジアでの子どもの近視が増加しており、その対策の必要性をWHO(世界保健機関)が強く訴えています。
文部科学省の「学校保健統計調査」によると、1979年には約35%だった裸眼視力が1.0未満の小学生の割合も、2022年には61%と倍近くになっています。

近視の治し方・矯正方法

眼鏡・コンタクトレンズ

眼鏡・コンタクトレンズもっとも一般的で、手軽な矯正方法です。眼鏡、コンタクトレンズを使うことで、近距離以外でもピントが合いやすくなります。

オルソケラトロジー治療

オルソケラトロジー治療就寝中にハードタイプの特殊なコンタクトレンズ(OKレンズ)を装用することで、角膜のカーブを矯正する治療です。起床後、OKレンズを外しても角膜の矯正は残っており、日中の長い時間を裸眼で過ごすことが可能です。
装用開始から数日~1週間ほどで効果を実感できるようになり、3カ月後までに9割前後の方が目標としていた視力まで回復します。
装用をやめれば、角膜は元の状態に戻ります。手術が必要なく、可逆性がある治療として、近年人気が高まっています。

遠視

遠視について
分かりやすく解説

遠視について分かりやすく解説遠い距離を見る時、網膜より奥でピントが合うため、ある程度進行すると遠くがよく見えません。また近い距離を見る時には、より強く水晶体を調節する必要があるため、目が疲れやすいという特徴を持ちます。
「遠くはよく見える目」と誤解されがちですが、これは誤りです。

遠視と老眼の違い

「遠視」は、眼軸長の短さ、角膜や水晶体の屈折力の弱さによって、網膜よりも奥でピントが合ってしまう状態を指します。
対して「老眼」は、加齢によって水晶体が硬くなるために、ピントが合いづらくなる状態を指します。
共通点としては、目の疲れやすさが挙げられます。

遠視の人が老眼になると
どうなる?

視力の低下

遠視と老眼は逆の症状ですが、老眼が進行すると近くの物がますます見にくくなり、遠視と併存する場合は両方の症状が相まって視力が低下する可能性があります。

焦点調節が困難になる

遠視の人は近くの物を見る際に焦点を合わせるのに苦労しますが、老眼が加わるとさらに焦点を合わせることが難しくなり、日常生活での読書や近くの作業が困難になる可能性があります。

眼の疲れ

遠視と老眼が同時に進行する場合、眼が遠くも近くもしっかりと焦点を合わせる必要があり、これにより眼の疲れや痛みが増す可能性があります。

遠視の原因は?

子どもはほとんどのケースで眼軸長が短く、遠視気味です。ただその後、成長の過程で眼軸が長くなり、解消されます。解消されずに遠視になってしまうのは、遺伝の影響が大きいと言われています。
強い遠視では、視力の発達が悪く眼鏡が必要になります。また、目が内向きになる内斜視を起こすことがあり、その場合も眼鏡が必要です。

遠視の治し方・矯正方法

遠視の治し方・矯正方法眼鏡やコンタクトレンズを装用し、ピントを合わせやすくします。眼鏡・コンタクトレンズを作る際には眼科で正確な検査を受けることを強くおすすめします。特に子どもの場合、弱視や内斜視のリスクもあるため、眼鏡はより慎重に選ばなければなりません。
その他、レーシック手術、ICL手術なども治療の選択肢となります。

乱視について

乱視について
分かりやすく解説

乱視について分かりやすく解説角膜や水晶体の縦方向・横方向の屈折力には、誰でも多少の差があります。しかし、この差が大きいと、物が歪んで見える、物が二重に見えるといった乱視となります。
ぼやけて見える、ブレて見えるといったように感じる方もいらっしゃいます。

乱視の物の症状・見え方

物が歪んで見える、物が二重に見えるといった乱視の症状は、意外と気づけないことが少なくありません。
視力検査表には、直線が放射状に並んでいる図がありますが、乱視の人は縦線や横線、斜め線などの一方向のみが濃く見えます。

文字の見え方

線の交差している文字、画数の多い漢字などが滲むといった見えづらさを感じることが多くなります。1つの文字の中で濃淡があるというケースも見られます。

夜間の見え方

夜間は、夜景のライト、車のヘッドライトなどを見る時に特に不都合を感じます。光が二重に見えたり、ぼやけて見えたりします。

乱視の原因は?

加齢または先天的な異常によるピントの調整力の低下

目の構造を立体的に考えると、光はあらゆる角度から入り込み、屈折していることが分かります。
多くの乱視は、加齢、または先天的な角膜・水晶体の異常によって縦方向の屈折力、横方向の屈折力の差が大きいために、網膜でピントが合わないことを原因とします。
これを「正乱視」と呼び、基本的に眼鏡やコンタクトレンズ(ソフト・ハード)で矯正が可能です。

外傷、角膜・水晶体疾患による屈折力の変化

外傷、角膜や水晶体の疾患、あるいは目の手術などを原因として角膜の表面にデコボコが生じ、屈折力が変化して乱視になることもあります。
これを「不正乱視」と呼び、眼鏡による矯正は困難です。ハードコンタクトレンズであれば、矯正可能です。

乱視の治し方・矯正方法

乱視の治し方・矯正方法正乱視であれば眼鏡またはソフト・ハードコンタクトレンズで、不正乱視であればハードコンタクトレンズで矯正するというのが基本です。
ただし、正乱視であっても強度乱視の場合は眼鏡が作れないということがあります。また、水晶体を原因とする不正乱視については、残念ながら有効な矯正方法がありません。

近視・遠視・乱視
(屈折異常)に関する
Q&A

近視、遠視、乱視になるのはなぜでしょうか?

近視や遠視の原因は、眼球の長さや角膜、水晶体の屈折力のバランスの乱れにあります。これにより、網膜上での焦点合わせがうまくいかなくなります。
一方、乱視の原因は、角膜や水晶体の形状の歪みです。これにより、光の屈折が不均一になり、複数の焦点が生じます。

屈折異常はなぜ起こるのですか?

屈折異常の原因は大きく2つあります。一つ目は、角膜から網膜までの距離、つまり眼球の長さ(眼軸長)が通常よりも長い(または短い)ため、網膜でピントが合いにくくなることです。
もう一つは、水晶体の厚さを適切に調節できないなどの理由により、光の屈折率の調節がうまくいかなくなることです。

近視と遠視は屈折力と関係がありますか?

近視は、屈折力が強すぎるために、焦点が網膜の手前で結ばれる状態を指します。眼軸(眼の奥行き)が長すぎる場合も近視となります。
一方、遠視は、角膜や水晶体の屈折力が弱く、網膜よりも後方で焦点が結ばれている状態です。

乱視は視力に影響しますか?

乱視とは、角膜や水晶体の歪みにより、目に入る光の焦点が複数生じる状態を指します。
角膜または水晶体が球状ではなく、ラグビーボールのような形状をしているため、光の屈折に差が生じ、ピントが一箇所に合わなくなります。その結果、像がぼやけたり、二重に見えたりすることがあります。

近視は弱まるものなのでしょうか?

成長過程で発生する近視は、通常、成人になるまで治ることはありません。
しかし、成人後にパソコンやスマートフォンの長時間使用などによって引き起こされる近視は、その原因を避けることや点眼治療を行うことで、程度が軽くなる可能性があります。

スマホが近視の原因になりますか?

現在のディスプレイは以前よりも大型化し、液晶のバックライトやLEDによるブルーライトなどが長時間の使用により眼の疲労を引き起こしやすい環境となっています。
また、就寝前にディスプレイを見ることで脳が興奮し、睡眠の質が低下しやすくなります。その結果、眼の疲労が解消されにくくなることもあります。