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日帰り白内障手術

白内障とは

白内障とは、目の中にある水晶体という部分が徐々に濁ってくる病気です。この水晶体が濁ると、光がうまく目の奥まで届かず、視力が低下したり、物がぼやけて見えたりします。

正常な見え方

正常な見え方

白内障の見え方

白内障の見え方

白内障セルフチェック

こんな見え方に
なっていませんか?

  • 視界に靄(もや)がかかったようで、物が霞んで見える
  • 照明、太陽光などがあり明るい場所で、眩しさを強く感じて見えづらい
  • 物がぼやけて二重、三重に見える

白内障手術の現状

欧米など、医療先進国では白内障手術のほとんど(約90%)が日帰りで行われます。一方の日本では、少し前まで、日帰り白内障手術の割合は40%台にとどまっていました。この数字の低さには、日帰り手術よりも入院手術の方が、日本の病院の経営上のインセンティブとなることが少なからず影響していたものと考えられます。
しかし近年になり、不要な入院の削減の動き、患者様のQOL維持、入院に伴う認知症のリスク、新型コロナウイルス感染症の流行による院内クラスターへの注目、医療技術の進歩などさまざまな要因が重なり、国内でも白内障手術を日帰りで行うケースが増えてきました。

日帰り手術には、
さまざまなメリットが

日帰りでの白内障手術は、入院した上で行う白内障手術と内容に変わりはありません。また当院では、最新の術式による白内障手術を行っており、むしろ高度な治療を受けていただける環境が整っています。
また、費用が抑えられる、手間のかかる入院手続きが省略できる、患者様・ご家族様のご負担が減る、仕事や家事などへの影響が最小限に抑えられるなど、さまざまなメリットがあります。
もちろん、全身麻酔が必要になるケース、集中的な治療を必要とするケースなどで無理をして日帰り手術を行うということはありません。その場合は、提携する病院へと速やかにご紹介いたしますので、どうぞ安心してご相談ください。

当院の白内障手術の特徴

目への負担が少ない手術

①日帰り手術

入院の必要もなくその日のうちにご帰宅いただけます。経済的負担もより軽く済みます。

②痛みの少ない優しい手術

注射せず、点眼麻酔でわずか2mm程の極小切開創から最新の手術法で行いますので、出血はせず、抗凝固剤(ワーファリン)や抗血小板凝集抑制剤(パナルジン、アスピリン)などの薬剤を中止する必要もありません。

③最新の白内障手術法

③最新の白内障手術法従来の手術法では、濁った水晶体を片端から超音波を使って砕いて吸い取っていました。
1992年(平成4年)に赤星隆幸先生(三井記念病院、東京都)によって「フェイコ・プレチョップ法」という新しい白内障手術方法が開発されました。超音波をかける前に、水晶体をプレチョッパーという特殊な器具で、細かく分割しておくため、超音波をかける時間が著しく短縮されました。
これによって超音波チップの熱で傷口が傷むこともありませんし、超音波のエネルギーによる角膜内皮細胞の障害も軽減されます。また、眼内に灌流液を流す時間も短くなりますので、視神経や他の重要な組織にかかる負担も軽減できます。それに、白内障手術における水晶体後嚢破損という合併症の発生率をゼロ近くまでコントロールすることも可能になります。

④最新設備の導入

眼軸長測定装置眼軸長測定装置
患者様に合った眼内レンズのタイプ、度数を選択する際に重要になるのが、眼軸長(眼球の前後の長さ)です。当院では、最新の測定方法(スウェプトソース方式)に対応した眼軸長測定装置を導入し、正確な眼軸長の測定と、より適切なレンズの選択に努めています。

眼科手術顕微鏡眼科手術顕微鏡
カメラメーカーとして、そして医科では顕微鏡メーカーとしてトップを走るライカ社の医療用顕微鏡を導入しています。
高解像度のモニター、ハロゲンライトとLEDを組み合わせた照明による鮮明な術野画像が得られます。また、迅速で正確な手術のため、操作者の使いやすさにもこだわった設計がなされています。

白内障手術装置 「センチュリオン・ビジョン・システム」白内障手術装置 「センチュリオン・ビジョン・システム」
アルコン社が開発した、次世代型の白内障手術装置です。
業界で初めての灌流制御システムにより、手術中の眼内圧の変化を抑えることで、合併症のリスクを最小限にした安全性の高い手術を行えます。
専用の新型チップは、超音波による振動を従来の約半分に削減します。これにより、角膜への侵襲を抑えた、効率性の高い手術を実現します。

⑤徹底した感染対策

⑤徹底した感染対策プレポストバキューム高圧水蒸減菌器
世界でもっとも厳しいヨーロッパ基準「クラスB」をクリアした高圧水蒸滅菌器です。プレバキューム方式が採用されており、中を真空にすることで、高圧蒸気がすみずみまで行き渡り、複雑な構造をした器具であっても確実に無菌状態にすることができます。
院内感染のリスクを限りなくゼロに近づけるために、欠かせない設備です。

白内障手術の適応
白内障手術に向いている人、
向いていない人

白内障手術は、今や非常に安全性の高い手術となりました。しかし、白内障だから手術をすればいい・必要というわけではありません。
無理に手術をせずに薬物療法を継続した方がいいという方、あるいは総合的に考えて手術を行わない方がメリットが大きい方もいらっしゃいます。
当院では、患者様のお身体の状態、年齢などを考慮した上で、メリットの法が大きいと判断した時のみ、白内障手術をおすすめします。

向いている方

  • 白内障による視力低下、かすみ目、まぶしさなどで日常生活に支障が出ている方
  • 全身の健康状態に問題のない方

向いていない方

  • 症状が軽く日常生活に支障がない方、快適に生活をしている方
  • 全身の健康状態が悪く、白内障手術によってさらに悪化する可能性のある方
  • 認知症などを原因として、意思疎通が難しい方

白内障手術の流れ

(ご予約から
アフターフォローまで)

1手術前の検査

医師が診察し、手術を行うことがほぼ決定すれば、術前の検査を行います。
眼内レンズの適切な度数を導き出すための角膜径・眼軸長の測定、角膜内皮細胞数の測定、血液検査などを行います。
問題がなければ、手術日を決定します。

2術前準備

手術当日、手術前に準備を行います。
点眼麻酔をかけたり、散瞳点眼を行ったり、目のまわりを消毒したりといった準備が必要になります。

目の手術は怖いと感じられる方へ

低濃度笑気ガス麻酔を用いた白内障手術

点眼麻酔をかけることで、手術中には基本的に痛みは感じません。
ただ、恐怖心や不安を強く感じるという方もいらっしゃいます。そのため当院では、低濃度笑気ガス麻酔をご用意しております。意識はありますが、気持ちがリラックスし、恐怖心・不安をほとんど感じなくなります。
ガスは手術後、速やかに体外へと排出されます。歯科治療や無痛分娩にも使用されている、安全性の高い麻酔です。

3手術室入室

ベッドで仰向けになっていただき、手術を開始します。
手術中は、血圧、血中酸素濃度を常に測定しております。目は見える状態ですが、顕微鏡の光で常に照らされているため、メスが見えるということはありません。
手術中、気になることがあればご遠慮なくお声がけください。その都度、対応させていただきます。

4切開

角膜周辺部に2.2mm幅の切開を加え、器具を挿入するための通り道を確保します。

5水晶体前嚢切開

水晶体が入っている「水晶体嚢」の前面を丸く切り取ります。

6超音波吸引

プレチョップ法にて濁った水晶体を分割してから超音波で細かく砕き、吸引・除去します。

7眼内レンズの挿入

眼内レンズを折りたたんだ状態で挿入し、水晶体嚢の中で固定します。

8白内障手術終了

手術は、15分程度で終了します。
30分ほど院内で過ごしていただき、問題なければご帰宅となります。
手術後3日間は手術を行った目を保護いたしますが、日常生活はほぼ変わらず送っていただけます。

9白内障手術後の診察

手術後の1週間は必要に応じて3日程の診察、その後は2週間後、1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後にご来院いただき、目の状態を確認します。

注意点

合併症について

  • 水晶体嚢の後面が破れた場合、予定していた眼内レンズが挿入できない・眼内レンズの挿入そのものができないということがあります。

手術後の注意点

  • 手術後3日間は、透明のシールド、専用眼鏡などで目を保護する必要があります。
  • 手術後は光の通りが良くなるため、まぶしさを強く感じたり、充血を起こすことがあります。
  • 手術後、これまで使っていた眼鏡の度数が合わなくなることがあります。必要に応じて、度数を変更します。
  • 車の運転は、見え方に慣れ、問題ないようでしたら再開できます。
  • 温泉やプール、土を触るといった、目にばい菌が入る可能性のある行為は1カ月ほど避けてください。

治療費用

単焦点眼内レンズを使用した場合(保険適用)

  1割負担 2割負担 3割負担
片眼 約13,000円 約26,000円 約40,000円

※患者様の目の状態、使用する薬剤などにより、費用が変動します。

多焦点眼内レンズを使用した場合(選定療養・自費診療)

  クラレオン
パンオプティクス
テクニスシナジー
片眼 320,000~350,000円 320,000~350,000円

※追加で保険診療としての一部負担金が発生します。

眼内レンズについて
~ライフスタイルに合わせた
レンズ選び~

白内障手術では、濁った水晶体を取り除き、変わりに人工の眼内レンズを挿入します。
眼内レンズは、1つの距離にピントが合う「単焦点眼内レンズ」と、複数の距離にピントが合う「多焦点眼内レンズ」に分けられます。患者様のお仕事や趣味など、ライフスタイルに合わせてレンズを選択することが、日々の快適な生活へとつがなります。

単焦点眼内レンズ

単焦点眼内レンズ近方、または遠方のどちらかの距離にピントが合う眼内レンズです。
近方にピントを合わせた場合、スマホやパソコンの操作、読書、料理、机の上で行う作業などが裸眼で快適に行えます。ただしテレビ、外出時の景色、運転時といった遠方を見る時はぼやけます。普段は遠方用の眼鏡を装用し、近くを見る時にその眼鏡を外す、という形での生活となります。
遠方にピントを合わせた場合には、普段は裸眼で過ごし、手元にピントを合わせる時に近方用の眼鏡(老眼鏡)を装用するという形になります。
どちらを選んだとしても、見えにくい距離用の眼鏡があれば、日常生活で困るということは基本的にございません。また、1つの距離における見え方に限って言えば、多焦点眼内レンズよりも見え方は良好です。そのため、手元の作業を正確に行いたい・そういった仕事や趣味を大切にしたいという場合には、単焦点眼内レンズで近方にピントを合わせることをおすすめします。

多焦点眼内レンズ

多焦点眼内レンズ近方、中間距離、遠方といった複数の距離にピントを合わせることのできる眼内レンズです。
単焦点眼内レンズと比べ、眼鏡が必要になる場面・時間が減ります。まったく眼鏡を使用せずに問題なく生活をする方も少なくありません。ただし先述の通り、1つの距離に限って言えば、多焦点眼内レンズよりもややピントが甘くなります。
ピントが合う距離の数によって、2焦点眼内レンズ、3焦点眼内レンズなどに分けられます。また、多焦点眼内レンズのデメリットとも言えたハロー・グレア(夜間の光が滲んだりぎらついたりする現象)が起こりにくいレンズも登場しています。

後発白内障治療について

後発白内障治療について後発白内障とは、白内障の手術後、数カ月~数年が経過した頃に起こるものです。眼内レンズが固定されている水晶体嚢に濁りが生じ、目のかすみ、眩しさといった白内障のような症状が現れます。
ただこの後発白内障については、外来でのレーザー治療によって簡単に濁りを取り除き、症状を改善することができます。メスを使った外科的な治療は必要ありません。後発白内障が再発することもございません。

白内障手術Q&A

白内障手術とは、どんな手術ですか?

主に加齢を原因として濁りが生じた水晶体を取り除き、代わりに人工の眼内レンズを挿入する手術です。点眼麻酔をかけるため、痛みはほとんどありません。意識はあり、目も見える状態ですが、常に顕微鏡の光で照らされているため、メスが見えることはありません。それでも手術に対する恐怖心や不安があるという場合には、低濃度笑気ガス麻酔を併用します。気分がリラックスし、恐怖心・不安がほとんどなくなります。

手術後は、すぐに普段の生活に戻れるのでしょうか?

手術当日は、ご自宅でできる限り安静にしていただきますが、翌日からはほぼこれまで通りの生活を再開していただけます。車の運転も、数日以内に再開可能です。手術翌日から首から下のシャワーを、3日後から洗髪を再開できます。
ただし、手術後3日間は目を保護する必要がありますので、お仕事も3日ほどお休みされることをおすすめします。またメイク、飲酒は1週間後から、温泉・プール・土いじりなどは1カ月後からの再開となります。

手術の時、痛みはありますか?

点眼麻酔をかけますので、痛みはほとんどありません。手術中に麻酔を追加することもできますので、ご安心ください。局所麻酔ですので、意識はあり、気になることを医師に口頭で伝えることができます。

せっかく入れた眼内レンズが濁ることがあると聞き、不安です。

以前はそういったことがありましたが、改良が重ねられ、現在ではまず起こりえないことです。眼内レンズを固定する水晶体嚢が濁る(後発白内障)ことはありますが、こちらは外来でのレーザー治療によって、簡単に濁りを除去できます。また、後発白内障が再発するということもありません。

白内障手術を受けた人から「思ったよりも良くならなかった」と聞きました。そういったケースもあるのでしょうか?

黄斑部疾患や緑内障、糖尿病網膜症、角膜疾患などによる視力低下が重なっている場合、白内障手術による効果が十分に得られないということがあります。また、白内障があまり進行していないのに白内障手術を行ったという場合も、思っていたよりも良くならない、ということがあります。
手術後の視力の戻り具合は症例によって異なります。まずはどれくらいの期待が持てるかということをお調べしますので、一度当院にご相談ください。

両目の白内障手術を同時に受けることはできますか?

可能ですが、おすすめはしません。手術直後、一時的ではありますが両目が見えにくい状態となると、日常生活に支障をきたします。両目の手術が必要な場合には、通常1~2週間の間隔をあけることになります。

眼鏡は、どのタイミングで作ればよいでしょうか?

白内障手術後、3カ月程度で眼内レンズが安定しますので、そのタイミングに作ります。早くに眼鏡を作ってしまうと、眼鏡の度数が合わないということにもなりかねません。